岸和田市における人口減少と空き家の増加について
岸和田市では人口減少によっての空き家数及び郊外における将来の不動産価格を統計から考察してみます。総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2023年時点の全国の空き家の数は約900万戸で、住宅全体約6,500万戸の13.8%を占めています。岸和田市では全住宅90,830戸に占める空き家の戸数は、12,550戸で13.8%となっており全国平均と同じ割合となっています。2018年での空き家は11,810戸であり5年で740戸増加しています。賃貸等を含まない二次的住宅以外では2018年の4,790戸から5,890戸と5年で1,100戸増加しています。2025年には団塊の世代が一斉に75歳以上になることが言われておりより増加する可能性があります。
岸和田市の人口は政府統計(e-stat)から2015年200,148人、2016年199,214人(前年比934人減)、2017年198,017人(前年比1,197人減)、2018年196,871人(前年比1,146人減)、2019年195,350人(前年比1,521人減)、2020年194,162人(前年比1,188人減)、2021年192,736人(前年比1,426人減)、2022年190,853人(前年比1,883人減)、2023年189,396人(前年比1,457人減)、2024年188,002人(前年比1,394人減)となっており10年間で約6%減少しています。平均して年0.6%の減少となっています。高齢者の割合が2025年で5人に1人となるので人口減少率は加速していくことが考えられます。
対して岸和田市の世帯数については増加しています。2015年85,405、2016年86,000(前年比595増加)、2017年86,424(前年比424増加)、2018年86,801(前年比377増加)、2019年87,173(前年比372増加)、2020年88,018(前年比845増加)、2021年88,438(前年比420増加)、2022年88,598(前年比160増加)、2023年89,301(前年比703増加)、2024年89,981(前年比680増加)10年間で毎年増加しています。人口が減少しているのに世帯数が増加しているのは小規模家族の増加、一人暮らしの増加が考えられており、岸和田市や日本だけではなく、多くの国で見られる現象のようです。
また岸和田市の建築物着工数については居住用住宅以外も含み2015年682戸、2016年741戸、2017年677戸、2018年718戸、2019年851戸、2020年862戸、2021年931戸、2022年990戸、2023年671戸と増加しています。既存住宅の建替えや解体もあり、そのまま総戸数への増加にはなりませんが年々戸数自体は増加しています。
空き家を活用して収益用賃貸物件にする事が不動産業者だけではない一つの投資として広まっています。私が20数年不動産に関わる中で戸建の賃貸住宅の需要が年々減少していることを肌感覚で感じています。5年前にSUUMOで岸和田市の戸建賃貸を検索したときに表示された件数は10件未満となっていましたが現在は50件~60件が募集されています。建築当初より収益を目的とした築浅の戸建賃貸を除いた数字で空き家を活用した賃貸であろう戸建の数字となります。弊社でも買取した中古戸建を賃貸として借り手を募集し収益物件として運用していますが賃料の割安感を持たせたり他の賃貸にない強みをつけて募集したところでも年々、申込に至るまでの期間が長くなっているように感じています。岸和田市における2018年の賃貸住宅の空き家が6260戸で2023年が6250戸とほぼ横ばいとなっていますが空き家を活用した賃貸住宅、新築の賃貸住宅が増える中で考えれば人口減がある中で需要が減るのは必然に思います。
少子高齢化が進む中で世帯数の増加に陰りが見え始めた時に住宅の過多がもっと顕著になっていくのではないでしょうか。住宅の過多が進めば価格の下落となります。将来において郊外の不動産は利便性のある場所を除いて価格が上昇することは考えにくいと思われます。